メンタルヘルスを自分で行うにはどうするか

オレムによるとセルフケアは、自身にとって良好な状態を維持するためにする「自発的」な行動であると定義されている。
オレムの理論はメンタルヘルスに限られたことではなく、身体・社会的に健康な生活を営むために作られたものであるが、そうした生活はメンタルヘルスにとっても良い状態を招くといえるだろう。そしてオレムの提唱したセルフケア理論のうち、日常のメンタルヘルスにおいても重要なのは「普遍的セルフケア要件」であろう。

その中でも特に注目したいのは、「活動と休息のバランスの維持」である。
働いているなら、「ワークライフバランス」と呼んでもいいかもしれない。「普遍的」というだけあって、あらゆる人々、あらゆる年齢において生きていくために重要なことであると考えられる。心の健康のためには、みずからで活動と休息のバランスを維持しなければならないのだ。オレムの理論はその実現のための方策を具体的には述べていないが、この点に注目する必要があると分かることは有益なことである。

またもうひとつ言えることは、みずからでそのケアが実現できない場合には、人は他者のケアを必要とするということである。これは薬を飲むといった大げさなことではなく、専門家などに気軽に相談することで、解決の糸口を探ることができるのだ。オレムの提唱した要件とみずからの生活を照らし合わせることで、みずからが他者にどの程度頼るべきかも理解することができるだろう。